7月29日(月)〜8月1日(木)まで、コラニー文化ホール小ホールにて
「高校演劇講座 演出ワークショップ」が行われました。
山梨県内の、約130名の生徒たちが集まり、4日間の濃厚な時間を過ごしました。
〜2・3・4日目〜
2日目からは、文学座から講師の先生方を招いてのワークショップとなりました。
演出家 望月純吉さん(山梨県出身)
俳優 清水明彦さん
俳優 廣瀬響乃さん(文学座附属演劇研修所研修科1年 山梨県出身)
にご指導いただいての充実した3日間になりました。
《ボディワーク》
まずはボディワークからです。体操やストレッチなどで、じっくりと丁寧に身体をほぐしていきます。

2人1組になって、身体の脱力を行います。マッサージをしあったり、「金魚」という、相手の身体をウォーターベットのように揺らす脱力を行ったり…普段の姿勢や、勉強によって、想像以上に身体は緊張していたり、凝っていたりするんですね。
《呼吸法》呼吸法を教えて頂きました。数字をカウントしながら、ブレスをします。
〈例〉1・2・3・4(吸う)/ 1・2・3・4(止める) / 1・2・3・4・5・6・7・8(吐く)
など、吐く長さを変えながら、ブレスをコントロールする練習です。沢山空気を使って呼吸すると、身体が温まってきます。身体の無駄な力も抜けていく…舞台に出る前に行うと、台詞の出し方も身体の使い方も変わってくるそうです!是非続けていきましょう。
《シアターゲーム》
「たこはち」というゲームをやりました。
1から8までの数字を回していくのですが、「4はサイレントで言わない」「8は”たこはち”と言う」というルールもあり、最初はなかなか難しいです。別のことを考えてきたり、周りを見ていなかったりすると間違えてしまうので、集中力が必要です。
相手から受け取る(反応する)・伝える・周囲を見るなどのコミュニケーション力や集中力を研ぎ澄ます訓練です。楽しく行いました(^^)
《作品に取り組む》●今回取り組んだ作品
「ナシャ・クラサ」2012年 読売演劇大賞 大賞 受賞作品
作・タデウシュ・スウォボジャネク
訳・久山宏一 中山夏織今回は、テキストの一部分を抜粋して、生徒が役者・演出・音響・照明・舞台美術・衣裳などそれぞれのセクションを担当して作品作りに取り組みました。
学校・学年も違う生徒たちが、全部で6グループに分かれ、あれこれとアイディアを出し合いながら進めていきます。
《まずは演出チームと役者チームに分かれて》●演出チーム

こちらは望月さんに指導を受けます。
演出をする生徒は、さっそく自分の考える演出プランを説明します。
●役者チーム

こちらは清水さん 廣瀬さんに指導を受けます。
簡単に、今回の作品のあらすじをご紹介しておきます。
―『NASZA KLASA(ナシャ・クラサ)』ポーランド語で私たちの同級生という意味。この作品はポーランドのとある学校の同じ教室で学んだ男女10人の”歴史”を描いたもので、第二次世界大戦におけるユダヤ人への弾圧といった歴史的事実を通して彼らの人生に迫る。歴史的なことを題材にした作品のため、読むと難しい…という印象を受けました。また台詞も、話し言葉のみならずト書きも台詞にしてしまったような、独特な言い回しのもの。役者さん達は、最終日の本番までに台詞を覚えます。
《グループワーク》最終日の午前中まで約3日間かけて、作品作りに取り組みます。それぞれのグループが熱心に、ホール舞台上のみならずロビーなどでも稽古・話し合いをしていました。遅くまで残ってアドバイスを受けていた姿も印象的でした。最終日の発表に向けて、テクニカルな打ち合わせや場当たりをしながら、自分達の作りたいイメージに近づけていきます。
場当たりでは、演出さんは音響さんや照明さんなど、各スタッフに指示をしなければなりません。自分の考えていること、必要なことを人にしっかりと伝えることの大切さを感じました。
《発表》いよいよ、3日間の成果を活かした発表です。午後から発表だったのですが、お昼休みにも廊下や舞台で練習していました。

同じシーンを作っていくのですが、それぞれのグループによって受ける印象や心に残るものが異なり、大変面白かったです。

音響さんや照明さんは本番、上手くいったり、はたまたタイミングが少しずれてしまったりとドキドキだったと思います。しかし、照明がかわっていたり、旗を手作りしたり、衣装の雰囲気がそろっていたりと、細かな部分に工夫が見られました。

役者さんも、3日間で作り上げたとは思えないほどの熱演。小道具大道具などがない中でも、舞台上の空間を広く使って、色々なシーンが表現されていました。

最後は望月さんの作ったシーンも発表されました。

限られた時間の中で、とても完成度の高い作品ができあがりました。難しい脚本にも関わらず、沢山の人の力によって形づくられていく…演劇って面白いなあと改めて実感しました。
終了後は、みなさんとても充実した表情でした。様々な人と出会い、ものづくりを体験し、ぎゅーっと濃縮された4日間であったと思います。この経験を、これからの創作活動に活かしていただければとても嬉しいです。
今後も、ホールではこのような機会を作り続けていきたいと考えています。今回ご協力・ご参加頂きましたみなさまに、心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。